めまいについて
めまいを訴える人の数は、厚生省の国民生活基礎調査によると、約240万人にのぼっています。
からだの平衡をつかさどる器官には三半規管、耳石器、前庭神経、脳幹、視床、大脳皮質があります。このどの場所が障害されてもめまいが起こります。
めまいを大きく分けると、「耳から生じるめまい」、「脳から生じるめまい」、「老人に多いめまい」の3つに分けることができます。
めまいの種類
三半規管と耳石器からの感覚情報は前庭神経によって脳幹へ伝えられます。これらの器官、すなわち三半規管、耳石器、あるいは前庭神経に障害があるめまいが耳から生じるめまいです。
耳から生じるめまいでは、めまいと同時に耳鳴り、難聴、耳閉感が現れ、まためまいと並行して軽快します。
前庭神経炎
かぜの症状から1~2週間して、突然回転性のめまいで始まります。めまいのなかでも、もっとも強烈な症状です。食事をすることも、動くこともできませんが、2~3週間ほどで自然に軽快します。前庭神経炎の原因は、おもにかぜ症状のあとに起こるので、アレルギー反応が関係しているのではないかと考えられています。
良性発作性頭位変めまい
頭を動かしたときだけに軽い回転性のめまいが起こり、20秒以内に自然におさまるのが特徴です。この原因は多岐にわたります。
聴神経腫瘍
聴神経に腫瘍ができますが、良性の腫瘍なので転移することはありません。大多数は徐々に難聴がすすみますが、めまいは比較的軽いものです。腫瘍が大きくなると周囲の脳組織を圧迫して顔面神経マヒなどのさまざまな症状を引き起こします。小脳が圧迫されると、ふらつき歩行があらわれます。
抗生物質などの薬物からおこるめまい
以前結核の治療に良く用いられたストレプトマイシンやカナマイシンなどの抗生物質の後遺症でめまいを残すことがあります。もとの病気の治療が終わって数年あるいは20~30年たってからめまい、耳鳴りが始まることもあります。
メニエール病
難聴、耳鳴り、耳閉感などの耳症状とともに、発作的に強い回転性めまいが生じ、数分から数時間続きます。
突発性難聴
聴神経に炎症が起き、突然強い難聴が起こります。耳鳴りをともなうこともありますが、めまいは比較的軽いものです。
前庭神経が圧迫されるためのめまい
加齢によって動脈硬化が起こると動脈が延長し、蛇行します。そのため前庭神経が圧迫を受け、「ごっ、ごっ」という耳鳴りと同時にめまいを起こします。
騒音難聴からおこるめまいなど
ヘッドホンで大きな音を繰り返し聞いたり、プラモデルを組み立てる際にシンナーをかぎすぎるとめまいを起こします。
脳が原因で起こるめまいは、耳鳴りや難聴、耳閉感をともないません。めまいも耳から生じるめまいにくらべると軽いことが多いようです。しかしながら、脳の障害による特徴的な症状が現れます。物が二重に見える、顔や手足がしびれる、力が入らない、手がふるえるなどの症状です。脳から生じるめまいは、いままでに経験したことのないようなめまいであることが多いようです。
脳卒中(脳梗塞、脳出血)
脳卒中によって平衡感覚の経路のどこかが障害を受けるとめまいが起こります。めまいは通常2~3時間、短くても20~30分間は続きます。めまいの症状や程度は梗塞や出血が生じた場所によって異なります。
椎骨脳底動脈循環不全
椎骨脳底動脈の血流が悪くなるとめまいを起こします。この場合のめまいは20~30秒でおさまることが多く、急に後ろをふりむいたり、天井を見上げたり、床を見たりする動作によって血液循環が妨げられてめまいを起こします。
てんかん
てんかんによるめまいは、耳鳴りとともに揺れるようなめまいが15秒ほど続きます。自然に治ることが多いのですが、ときには手のふるえが現れたり、全身けいれんにいたることもあります。
お年寄りのめまいの特徴は、原因を簡単に明らかにできないことが多く、めまいの感じ方もかならずしも典型的ではありません。回転性のめまいが起こるような病気であっても、揺れるようなめまいとして感じることがあります。
起立性低血圧によるめまい
起立性低血圧とは、座った位置から立ち上がったときに最高血圧が20mmHg以上低下するものを言います。血圧が少し下がっただけでもめまいを起こしやすくなります。
椎骨脳底動脈循環不全によるめまい
動脈硬化が進行したり、頸椎の変形が起こってはじまります。
脳卒中によるめまい
脳梗塞や脳出血もお年寄りに多いめまいです。小さな梗塞(ラクナ梗塞)が起きてもマヒは出ず、めまいでおさまってしまうことも多いのです。
暑さによる脱水からおきるめまい
暑さのために汗をかくと体の水分が失われ、脱水状態になります。同時に血液の粘りけが増してきます。この結果血流がとどこおり、めまいを起こします。
診察・診断方法
脳血管障害や脳腫瘍などの基礎疾患を原因とするめまいが考えられますので、小脳機能検査、必要に応じてMRI又はCTによる画像診断や重心動揺計検査を実施します。
必要に応じてMRI又はCTによる画像診断や重心動揺計検査を実施します。その後耳鼻咽喉科(神経耳科)への紹介をいたします。
必要に応じてMRI又はCTによる画像診断や重心動揺計検査を実施します。